道草記

思考の掃き溜め

DYNAMIC CHORD feat.Liar-S Append Disc についての雑記(朔良編)

あらすじと筆者のスタンスは下記リンク先の通りなので、特に真面目な(?)レビューを求めて来た読者には確認をお願いしたい。

 

yukumari.hatenadiary.jp

 

檜山朔良ルートの概観および感想

 

本編要旨:

朔良は中学時代に友達の誘いでVIVIANITE(シリーズの舞台となる藍鉄区にあるライブハウス)で歌った楽しさをきっかけにして、愛する家族の応援を糧にバンド活動を始めた。しかし当初作ったバンドは高校時代に解散してしまい、同時に姉も結婚で家を離れてしまう。それでも歌うことは諦めたくないとVIVIANITEで活動を続けていたところ、芹と出会いS-leeperを結成した。後に慎也の脱退にショックを受けるも、宗太郎を迎えたLiar-Sが華々しいメジャーデビューを飾ったことで喜びに溢れていた。

メジャーデビュー以降、(千哉と同じく)「顔ばかりで演奏をまともに聴いてもらえないこと」、「デビュー曲『グッバイ サブウェイ』以外の曲が聴いてもらえないこと」に苦しみながらも諦めずに歌っていたが、ある時、喉の不調で明らかに失敗した舞台だったにも関わらず聴衆は誰もそれに気付かなかったこと、そして同時期に家に残った最後の家族である父が亡くなってしまった虚脱感から歌に力が入らなくなり、また真剣に歌おうという意欲も失くしてしまった。やるせなさを紛らわせるために喫煙を始めたのもこの時期である。

 「拒絶されてもなお、音楽への熱情に溢れていた頃の朔良の歌声を取り戻したい」という主人公の言葉を受け、芹は自分の家に半ば居候している朔良もろとも主人公を朔良の家へと連れて行く。苛立つ朔良に追い返された主人公は、芹の助言を受け食材を携えて戻り、「食べ終わったら帰るので、満足に食事ができていないという朔良のために料理を作らせてほしい」と言って朔良の部屋に嫌々ながら受け入れられる。主人公が作ったオムライスに幼い頃に亡くした母の味、および愛する家族との思い出を呼び起こされた朔良は、それらが失われてしまったことによる寂しさを再認識して苛立ちを覚えつつも、主人公の「乱れがちだという食生活を支えるために、今後も料理を作りに来たい」という主人公の申し入れを受け入れる。しかし後日、主人公に「自分がこう歩み寄ろうとするのはかつての朔良の歌を取り戻したいからだ」と言われ、「家族と別れてからも他者と自分を繋ぐ心の支えとなっていた歌さえ、今はその力を失っている」という事実を突き付けられた朔良は、主人公を再度拒絶する。

それでも芹の支えを受けて再度朔良の家へと向かった主人公は、部屋の前で朔良が見知らぬ女性にキスされる現場を見てしまう。朔良は主人公を部屋に上げ、先の現場に動揺した様子の主人公に対し「主人公も同じように自分の身体を求めてるんだろう」と言って押し倒しキスをする。主人公はそんなつもりは無いと抵抗し抜け出し、強引に迫りつつも悲痛な表情を見せる朔良の心中を理解することができない歯痒さを感じながらも朔良に言われるまま部屋を去る。

朔良の心を無神経に踏みにじったと自責する主人公に対し、宗太郎は「朔良は今の家で仲睦まじく暮らしていた両親を亡くし、姉も結婚して離れてしまった」「大切な家族を失った悲しみを思い出させるため、朔良は(1人で)家にいたがらない」「その喪失感から、芹をはじめとすた仲間に依存したり、自分の顔目当てで近づく女性たちを拒まないようになった」ということを明かし、「朔良は裏切られることへの恐怖から主人公を突き放しているが、主人公の支えようとする心を信じようとしているはずだ」と励ます。宗太郎の言葉に支えられもう一度朔良の家に向かった主人公は、朔良の帰りを待って部屋の前で寝込んでいたところを家に上げられる。朔良は先日の行動を詫び、主人公の歩み寄りを受け入れると暗に伝えた。何度拒絶してもなお自分を支えようとする主人公の熱意と真っ直ぐさに朔良も心を溶かしつつあった。

ある日、仕事の現場で苛立ちのまま飛び出した朔良に付いて主人公は朔良の部屋に入り、そこで本文冒頭の心中を聞く。自分の弱さを知ってもなお幻滅することなく自分の寂しさに寄り添おうとする姿に堪え切れず朔良は主人公に縋り付き、主人公はそんな朔良を身体をもって慰める。以来、主人公は態度が和らいでいく朔良に次第に心惹かれてゆく一方で、朔良が求めるのは何であれ慰めとなる存在であって自分自身ではないのだということ、そしてその身体による「慰め」も決して本質的な解決にはならないことに切なさと無力感を募らせてゆく。

その後、主人公はイベントライブで偶然再会した前述の「見知らぬ女性」であるところの歌手のMERIが千哉に作曲を依頼したこと、そして千哉がそれを承諾したことを芹から聞く。「朔良が歌う、Liar-Sの曲」を作ることに誇りと拘りを持っていた千哉が他人への曲を作ることに違和感を覚えつつ、主人公は連絡の取れない朔良を案じて家に向かう。朔良は千哉の件を既に本人から聞いており、これで千哉は独立した作曲家として道を歩み、自分1人でLiar-Sの最期を見届けることになるだろうと諦念していた。主人公は、そう言いつつも朔良のLiar-Sへの想いは捨てきれるようなものではないこと、そして朔良以外のメンバーもその想いを共有していることを指摘し、「朔良が本当に望んでいることは何か」と問う。この問いに「Liar-Sを終わらせ、歌、音楽から逃げたい」と吐き出した朔良を、主人公はあても無いまま電車で連れ出す。辿り着いた海で2人で童心に帰って花火をしながら夜を過ごし、朔良は苦悩が晴れていくのを感じる。そして、朔良は主人公に「主人公のことを想うと純粋に歌いたいという想いで溢れる」「これからもそばにいて欲しい」と伝え、彼女への恋心は音楽や彼女に対しての姿勢を改めてから伝えようと決心する。

翌朝、芹たちLiar-Sメンバーが海に迎えに来たところで、朔良は千哉に「また立ち上がるための新曲を作りたい」と告げる。熱意を取り戻した朔良の様子に当惑しつつも千哉はそれを歓迎すると同時に、「MERIへの作曲は(決してLiar-Sを見限ったからではなく)Liar-Sの曲を高めるために新しい経験を積むつもりで受けた」と告白する。そして朔良の歌への情熱が蘇る中、Liar-Sは夏フェスでの再起を賭けた新曲発表に向けて一致団結する。

こうしてLiar-Sの新曲「RISE’n SHINE」は無事夏フェスで発表され、「デビュー曲とルックスが売りのバンド」という評価を打ち崩す(ry

そしてその舞台の後に朔良は主人公に想いを打ち明け、主人公もそれに応えて2人は恋人同士となる。

 

BADは青地部分で「逃げたいなら逃げ出せばいい」と答えた(BAD回避でも同様)主人公に対し、朔良が「そんな無責任なことを言うな」「お前は信者に過ぎない」と失望して追い返し、Liar-Sは消滅、アパートも取り壊された上で朔良は去っていく。そんな理不尽な。

BAD回避後のエンディング①は独占欲が強いからどうたらこうたらと(主人公が見ている)「テレビに映る自分」に朔良が嫉妬する話、エンディング②は正式に恋人となって初めての夜を共に過ごす話である。なるほど人気も出るわけだと思わされる程度には糖度が高い。

 

Liar-Sの問題の中心にある朔良の苦悩を暴いていくという本作の実質メインストーリーということで、かなり骨太というか少しずつ粘り強く戦う耐久戦のような話だった。(そもそも悩みの原因が朔良にある)千哉ルートははあくまで「支える」役割だったためか穏やかだったのに対して、このルートは朔良の悩みに直接対峙するため相応にドラマティックかつハード(主に貞操的な意味で)なストーリーで「ダイナミックらしさ」を代表しているように思う。まあ過激さで言えば上には上がいるのだが、このぐらいがスタンダードというところか。何度拒絶されても朔良の家に押し掛ける主人公の姿がプレイヤーから見ても異様だったり、彼のルートを考えると芹はともかく(貞操を奪われかけたことは知らないまでも)宗太郎が「朔良が試すようなことをしても許してほしい」とまともな倫理観では考えられないようなことを言い出すのでかなり気が散るのだが、十分読み応えはあったと思う。

特に前半が受け入れたり拒絶したりの連続で目まぐるしいが、状況としては「歌うことに対して『家族を失った寂しさ(を埋めるもの)』『どれだけ力を注いでも報われない無力感』『報われなくても仲間への責任を果たさなければならないというプレッシャー』といった様々な感情を抱え込んだ結果パンクして燃え尽きてしまった朔良に対して、これらの感情を歌からリセットさせて、真剣に自分の歌に向き合ってくれる人(=主人公)のために歌うという初心の熱意を取り戻させる」というように恐らくまとめられる。無力感は不屈の精神で、寂しさは(とりあえず)貞操で、プレッシャーは海への逃避行で解決したということになるんだろうか。総じて消化不良感は特に無いのだが、MERIと朔良が交際していたという設定が何に生かされたのかよくわからなかったのが心残りである。

 

ストーリーはさておき朔良というキャラに対する感想と言えば、「『女ってこういうのが好きなんだろ?』の原液を耳から流し込まれている感じ」に尽きる。気怠げでありながら無邪気な面もあり、かつ強気な裏に寂しさから主人公に縋り付く弱さも見せる。そして交際が決まってからは独占欲丸出しで愛を注ぐ……と大変こってりした恋愛模様に心奪われる乙女たちが多いのも納得である。いわゆる「過激派」が多いと言うのもさしづめ「独占欲には独占欲で応えるのが礼儀」というところだろうか。知らんけど。キスシーンなりベッドシーンもそこそこあるので好きな人には堪らないだろう。

Liar-S再生後も寂しさそのものは解決しようがないというわけか、おまけシナリオでは公衆やメンバーの面前で膝枕を要求したりキスしたりこれでもかと主人公へのぞっこんぶりを見せつけてくる。なお、寂しさを紛らわせるもう1つの手段であるタバコについては、アンコールストーリーで禁煙を試みるも何だかんだあって結局失敗する。この世界禁煙外来無さそう。

余談だが、CD等でメンバーや他バンドと交流している際の言動が自由過ぎて面白いので、男にベタベタ欲情されるのはなあ……という方にもそちらはお勧めする。

DYNAMIC CHORD feat.Liar-S Append Disc についての雑記(千哉編)

あらすじと筆者のスタンスは下記リンク先の通りなので、特に真面目な(?)レビューを求めて来た読者には確認をお願いしたい。

 

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珠洲乃千哉ルートの概観および感想

 

本編要旨:

高校時代に芹に誘われバンドを組むことになった千哉は、慎也の紹介で出会ったヴォーカル、朔良の歌声こそが理想の声であると心を奪われた。それ以来、彼は朔良の歌声を響かせる曲を自分の手で作りたいという思いでS-leeperおよびLiar-Sの楽曲を全て作詞・作曲し、次第に作曲家としての道を志すようになった。

しかし、メジャーデビュー以降、「顔ばかりで演奏をまともに聴いてもらえないこと」、「デビュー曲『グッバイ サブウェイ』(アニメ非登場)以外の曲が聴いてもらえないこと」、そして「(これらが原因で)朔良が自分の作った曲を真剣に歌ってくれず、かつそんな状況を打破できるような曲を作ることができないこと」がストレスとなり、朔良の隣で演奏に本腰を入れることができなくなっていた。

芹の「友達」計画で自分に絡んでくる主人公に対して、当初は不信感と警戒心を抱き冷たく拒絶する。途方に暮れる主人公に対して宗太郎は、Liar-Sに入ったばかりの自分も慎也の脱退を受け止めきれない千哉から遠ざけられていたが、諦めず距離を縮めていこうと接するうちに心を開くようになったと語り、この励ましを受けて主人公も諦めず千哉との距離を縮めようとする。そして千哉も、2年前と同じように実直に自分たちの音楽と向き合い、自分たちの支えになりたいと嘘偽りなく言う彼女に次第に心を許し、共に過ごす時間を増やすようになる。そうするうちに、2人は互いのひたむきで素直なところ、誠実で努力家なところに惹かれ合うようになる。

そんなある日、Liar-Sと同じ収録現場に居合わせた人気歌手MERI(アニメ不参加)は、「Liar-Sが没落しても作曲家として生き残る道につながるだろうから、自分が歌う曲を作って欲しい」と千哉に持ち掛ける。純粋に音楽家としての力を付けたいという思いと社長からの勧めもあって千哉はこの仕事を引き受け、初めてLiar-S以外への作曲をすることになる。しかし、いざ作曲に取り掛かるとMERIのイメージを無視した「朔良のための曲」になってしまい、曲作りに行き詰ってしまう。そんな中、千哉との連絡が付かないことに心配した主人公は芹・宗太郎の後押しを受けて彼の家に行き、気分転換のためにと料理を振る舞う。緊張の解れた千哉は、主人公に「MERIのための曲について、一般人の視点で良いからアドバイスが欲しい」と持ち掛け、この仕事に関して悩み苦しんでいた感情を吐露する。これを受けて主人公は翌日、千哉のフラストレーションの原因である朔良の説得に向かい、対話の中で千哉への恋心を自覚する。その時、MERIの曲が完成したと言う千哉からの連絡を受けて、主人公は千哉の家に向かう。話すうちに互いの恋心を打ち明けようという雰囲気になるが、腹の虫によって告白は中断されてしまう。

後日、千哉はLiar-Sのための新曲を作り上げ、それを携えて朔良を説得しにかかる。諦めず真摯に自分に向かう千哉の態度に心動かされたのか、朔良も熱意を取り戻しLiar-Sはこの新曲に向けて真剣に取り掛かるようになる。

新曲発表に向けてLiar-Sの練習が熱を増していくある日の夜、千哉はこれまで支えてくれた主人公への感謝と共に、「これからは恋人として自分たちを見守って欲しい」と想いを告げる。それに応えて主人公も自分の恋心を伝え、晴れて2人は恋人同士となる。初めてのキスを交わした後、「本当はこのまま帰したくないが、一線を越えてしまわないように家まで送る」という千哉に対して、主人公は「帰さないで欲しい」と夜を共にすることを決める。そしてその夜、2人は初夜を迎える。

こうしてLiar-Sの新曲「RISE’n SHINE」(5話のバッタが飛ぶ曲)は無事夏フェスで発表され、「デビュー曲とルックスが売りのバンド」という評価を打ち崩す成功を収めた。

 

選択肢を一定以上ミスると青字部分で朔良の拒絶に根負けして身を引き、千哉自身は作曲家として成功する一方でLiar-Sは解散する。乙女ゲーの選択肢って結構がっついていかないとダメなんだなあ、と何度もBADを踏みながら思った。

 

総じて、非常に健全というか当たり障りのない話だった。Liar-Sの問題と向き合うというよりは「千哉個人を支える」という色が強いため、他のルートと比べると淡泊というか全体のストーリー的には物足りない、というのが正直な感想である。千哉の悩みの根源は朔良にある以上千哉自身をカウンセリングする必要は薄いし、プレイ中に「そこまでわかったんならひとまずウクレレくんはほっといてドヤ飯のカウンセリングに行けよ!」と何度頭を抱えたことか。中でも、低迷の根源にある朔良が熱意を取り戻した理由がこのルートでは不明瞭(主人公登場以前にも新曲を作ってはいたがうまくいかなかったのに、なぜこの曲が朔良を変えたのかがMERIの1件を加味するにしても描写不足。また、演奏態度について千哉が説得を試みてもけんもほろろで諦めたという状況だったのに、朔良の悩みに触れないまま「千哉の不屈の精神」ましてや「主人公の千哉への恋心」が朔良を動かしたとは考えにくい)なのが一番の消化不足ポイントだった。まあそれは朔良ルートでどうぞということなんだろうが、新曲を作るまでの間に千哉が(あるいは千哉と主人公の2人が結託して)朔良の本心を聞き出しに行くという場面があっても良かったんじゃないかと思う。

また、千哉(と主人公)の成長という面から言うと、彼の口からは「諦めない粘り強さ」が強調されていたが、個人的には「他者との心を開いた交流を避け(恋愛経験無し)、また作曲に対するプライドからLiar-S外の他者の口出しを受け付けなかった千哉が、率直に言葉をぶつける主人公との出会いによって自分の弱みも含めて心のうちを明かせる存在(=主人公)を得、作曲についても素直に他者の意見に耳を傾けるようになった(MERIの件でアドバイスを求めた相手である主人公は、音楽に関して専門的な知識を持っていない)」という点をもっと押し出した方が「嘘」をテーマにしているであろう本作にはそぐうのではないかと思った。諦めないだけなら松岡修造でもいいわけだし。他キャラの「嘘」はかなり前面に出されている一方で、彼の「嘘」(恐らく「他者を頼りたいのにプライドから拒絶してしまう」というところだろうか)についてはぼやけた感じになってしまっているように感じる。まあそれは察しろという美学なのかもしれないが……

※後日追記:公式の紹介によれば彼にとっての「嘘」は「諦め」らしい。曲解しすぎたなあ。

と、「Liar-Sの再生物語」という観点からすればストーリーには不満なのだが、その分純粋に千哉自身の魅力に浸れるストーリーだったとしゅがぱにCDで不覚にも彼に心を奪われてしまった身としては思う。序盤こそ猛烈な勢いで拒絶してくるが、心を開いてからは聖人三勇士の称号は伊達じゃないと言わんばかりに初心な可愛さを見せつつ律儀に心優しく接してくれる。しかし2年前の記憶もあるとはいえクッキー一袋で懐柔され、テンプレのような服の好みをしてるあたりチョロイン感がある。かわいい。

同衾するという描写はありつつも他の攻略キャラに比べて格段に肌色成分が少なく(比較対象がおかしいだけとも言う)愛情表現が清楚なので、「ゲームとは言え男にガツガツ欲情されるのはちょっと……」という(主に)男性ダイナーファンにも入門あるいは清涼剤としてお勧めのシナリオと言える。多分。宗太郎もどちらかと言えば癒し枠だろうが、彼のストーリーは他ルートを攻略した後でこそ真価を発揮すると思うので、こだわりが無ければ後回しにすることを勧める。

なおBADを回避すると、以降の選択肢で新曲発表後のシーンが2通りに分岐する。エンディング①では夏フェスから暫く経って、主人公の新妻のような宣言に感極まって路地裏でキス、②では夏フェスの演奏終了後に(千哉を)苗字ではなく名前で呼んで欲しいとキャッキャウフフする話である。まるで少女漫画だな。

 

そして以下、おまけシナリオの簡単な紹介。

スペシャルシナリオ(love U kiss...)では「きちんと主人公の両親に挨拶がしたい」と菓子折り引っ提げて家にやって来て、結婚するかの勢いで父親を説得しにかかる。聖人やんけ。

アンコールシナリオでは自分たちのイチャイチャはそっちのけでMERIと加賀マネをくっつけようとする2人が見られる。エンド①のベッドでキャッキャウフフする図がどう見ても百合です本当にありがとうございました。お互いMERIにヤキモチ焼くしエンド②ではMERIを攻略できるしこんな百合、他√じゃ見れない!

 

思いの丈を語ると本稿趣旨から大幅に外れるので控えめに主張するが、かわいいし真面目な良い子だし下半身も慎まやか(しないとは言ってない)だしちーちゃんはいいぞ。

DYNAMIC CHORD feat.Liar-S Append Disc についての雑記(あらすじ編)

まず初めに断っておくと、私は乙女ないし女性向けコンテンツの愛好者ではない。むしろ女性同士でくんずほぐれつする図に興奮するタイプの人間である。

数年来アニメというものを見ていなかったところに2017年秋アニメであるところのDYNAMIC CHORDに触れ、そのダイナミックさに御多分に漏れず中毒となり、みんな大好きルシファー等の原作情報に触れるうちに原作ゲームへの知的好奇心に近い興味を持った(のとAmazonでセール価格になっていた)ことから当該作品を購入するに至った。白状するとゲームの前にドラマパート付き楽曲CDを買って不覚にも性癖を抉られてしまったキャラがいるというのもあるのだが。

そのため、真面目なゲームのレビューを求めて訪問された乙女諸姉においてはブラウザバックを強くお勧めする。あとネタバレ全開の記事になるので、初見のダイナミックさを味わいたいという未来の原作プレイヤー各位にもそっ閉じをお勧めする。

 

乙女ゲーに触れるのはこれが人生初である。というかそもそもノベルゲーと言えるようなものは「その花」しか触ったことが無いし、何なら今までまともにプレイしたと言えるゲームはポケモンカービィハム太郎(と散発的な任天堂作品を2,3タイトル)および連縁projectシリーズ、FGOぐらいであり、この手の作品は未知の領域というか本来であれば私の興味嗜好の真逆を行く存在だった、はずだ。去年の私がこの有様を知れば必ずや「なんで?なんで???」と膝から崩れ落ちることだろう。

そんな未知の世界に踏み入るつもりで手を出した原作Liar-S編であるが、掲示板等で語られていたように確かにふんだんなハード&ダーク要素に衝撃を受けながらも、牧歌的な作風のアニメとのギャップだけでなく純粋にこのゲームのストーリーそのものも楽しめた。多少のメンタルの強さがあればアニメダイコーファン諸兄でも十分楽しめるのではないかと思う。

 

そんなわけで、以下内容についての解説及び感想。

 

本作はDYNAMIC CHORD4部作の中でもアニメの村祭り夏編を担当していたバンド、Liar-Sを対象としたストーリーである。アニメから考えるとレヴァフェから攻略するのが妥当な気がしなくもないが、ストーリー的には他バンドから独立しているらしく、精々「KYOHSOというバンドがある」という言及が数回される程度で、本作からプレイし始めても特に説明不足を感じることは無かった。というか共通部分でじっくり人物やストーリーの背景について説明してくれるので、アニメから入った私は「説明が多すぎるのでは?」と錯覚してしまった。

 

あらすじ(共通部分のストーリー)は以下の通りである。

主人公(プリセット名:双海仁菜)は箱入り娘のお嬢様であり、親の敷いたレールをただ走るような人生を送っていた。そんな不自由こそなけれど平坦な温室ライフに違和感を覚えた彼女は、大学進学に際して親の意向に反し、自分の決めた進路で進学することに成功する。しかし大学生活にも慣れて暫くした頃、主人公は親によって半ば無理矢理2年間の留学を決められてしまう。やはり親に逆らえないという無力感と留学への不安を抱える中、主人公は親友である雨宮詩央(アニメ不参加)に誘われてロックバンドのライブを生まれて初めて聴きに行き、そこで'S-leeper'というバンドの演奏に強く心惹かれる。ライブが終わると突然知らない番号から電話が掛かってくるが、その電話の主は同じ大学の学生であり、かつて親同士の付き合いで顔を合わせたことのある結崎芹(俗称:偽ドヤム)だった。主人公は男性との対面が苦手なこともあり芹のことをあまり覚えていなかったが、芹は彼女のことをよく覚えており、久しぶりに話がしたいとバンドメンバーとの打ち上げの場である公園に呼び出す。戸惑いながらも公園に向かった主人公は、芹と共に、彼の仲間であるヴォーカリスト兼ギタリストの檜山朔良(俗称:ドヤ飯、ナポリ太郎)、ギタリストの珠洲乃千哉(俗称:ウクレレくん、妖怪ウクレレあやし)、ベーシストの槇慎也(アニメ不参加)と出会う。彼らこそがS-leeperのメンバーだと知ると主人公は感激し、メンバーたちに率直に感想を述べ、話を弾ませる。バンド活動を楽しむ彼らの姿を見て、「一方で自分には熱を注ぐものが何も無い」と虚しさを覚えた主人公に、朔良は「他者に作られた環境の中でも諦めずに自分の夢を探していけば、必ずいつかはその夢に向かって自分の力で進む強さを持てる」と励まし、自分にとってのその夢は「プロとなってS-leeperの曲をより多くの人に聴かせること」だと語る。S-leeperの音楽と朔良の言葉に勇気づけられ、主人公は留学先であるカナダへと発った。

留学から帰ってきた主人公は、自分の留学中にS-leeperがバンド名とベーシストを変え、'Liar-S'としてメジャーデビューし今や絶大な人気を誇っていることを知る。新顔のベーシストである榛名宗太郎(俗称:ネキニキ)は主人公と同じ学部であり、同じ講義を受けていたことから親交を持つ。帰国祝いとして詩央からチケットをもらった主人公は、期待に胸を弾ませLiar-Sのライブに向かうが、そこで聞いた演奏には留学前の演奏に感じた情熱や結束力が感じられなかった。帰宅の途中、「ライブの感想を聞かせて欲しい」と電話を掛けて来た芹に対し、主人公は演奏に違和感を感じたと伝える。それを聞いた芹は翌日主人公をLiar-Sのメンバー達に対面させ、演奏の質が下がったことを見抜いた彼女をLiar-Sの楽曲や演奏のアドバイザーとなる「トモダチ」とすると宣言する。朔良と千哉は主人公と芹に対して不信と不快感を露わにし、唐突な提案に宗太郎も困惑する。主人公を拒絶したまま朔良と千哉が退出すると、芹と宗太郎は「Liar-Sはデビュー曲の発表以降、その演奏よりもルックスを買われるようになった」「演奏を正当に評価されない虚無感から、朔良と千哉は演奏に手を抜くようになった」「自分たちは内輪の立場であるからか、どうにか奮い立たせようとしてもまともに取り合ってくれない」「故に、(客観的な立場から)演奏を正確に評価しつつ、なおかつ彼らの現状の無力感を癒せるような存在=トモダチを欲している」ということを明かす。主人公は突飛な提案に当惑しつつも、かつて自分を奮い立たせてくれた彼らの音楽、そして彼ら自身のためにできることがあるならと芹の「トモダチ」計画への協力を決める。

 

ここまでが全体的な背景になるが、太字部分の「Liar-Sはルックスという上辺ばかりが評価され、楽曲や演奏を真剣に聞いてもらえないフラストレーションから(主にヴォーカルとして前面に立つ朔良と作詞作曲を担う千哉が)不和を起こしている」という点がストーリーの骨子となる。(なお、この点はアニメでのLiar-S失踪の理由につながる)

この後、千哉や朔良に話しかけようとしては超絶怒濤の塩対応で拒絶されたり朔良に強姦未遂される中ルート選択肢が計3回出現し、脇目を振らなければ個別ルートに突入する。脇目を振ると共通BADを迎えるが、これについては某個別編で。

 

個別ルートについての解説については別項にて。

プレイしたのは千哉→芹→宗太郎→朔良の順だったが、Liar-S全体のストーリーとしては千哉→朔良→芹→宗太郎と見ていくのが順当だと思われるので、この順番で書いていく。

 

千哉編

朔良編(執筆中)

芹編(執筆中)

宗太郎編(執筆中)